40代直腸疾患(GIST-稀少がん)の超低位前方切除、一時人工肛門、人工肛門閉鎖後の排便障害を中心とするブログ

GISTとよばれる稀少がんを直腸に患った40代イクメンの稀少がん治療や育児や趣味を綴るもの

GISTとはー直腸GIST患者である私が調べた結果

 直腸に発生した高リスクGISTと診断された私が、初期の頃に調べまくった内容の一部を記事にしておきたいと思います。
 基本的な内容なので、既にご存じの方も多いかと思いますが、直腸GIST疑いと言われた方、直腸GIST確定間もない方に情報提供できれば、そして何より私の頭の整理になればと思います。
 なお、この記事には患者としての私の私見も含みますので、その点はご容赦ください。「記事筆者が直腸GISTをこのように捉えているんだ」というふうに御覧頂ければと思います。

GISTを簡単にいうと

yahoo検索で「GIST」と検索すると下記ページが検索トップに表示されます。
GIST 基礎知識:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]

 「病院で治療されるGISTの発生頻度は、10万人に1~2人と少なく、希少がんの1つに位置付けられます。日本では、発生部位として胃の割合が70%と高く、次いで小腸20%、大腸および食道が5%となっています。」と書かれています。
 私の直腸GISTは、稀少がんであるGISTの中でも比較的稀であり、100万人に1人程度のレアなものであることがわかります。「100万人に1人って宝くじが当たる確率とそんなに変わらないんじゃない?」と思います。

GISTのリスク分類。私のGISTのリスクは

 一般的ながんの場合、「ステージ〇」というのをよく見かけますが、GISTでは「〇リスク」という分類がされます。高リスクになればなるほど悪性度が高いということを意味しています。
 yahoo検索で「GIST研究会 リスク」と検索すると下記ページが検索トップに表示されます。
リスク分類 – GIST研究会

 よく出てくる「Miettinen分類」では、「腫瘍径と核分裂像数に発生部位」によってリスクが分類されます。腫瘍径は大きいほどリスクが高く、核分裂像数は腫瘍の増殖スピードのことでありこれも高い数値のほうがリスクが高くなります。発生部位については、胃の場合は比較的予後がよく、その他に発生した場合は、予後が悪いとされています。
 私の場合、直腸にGISTができており、腫瘍径が6.8cmで5cmを超えているため、核分裂像数が5/50HPFsを超えていれば高リスクに分類されます。直腸GISTは症例が少なく、腫瘍径が5cmを超え、核分裂像数が5/50HPFs以下の場合の症例が不十分ということでこれについてはリスクは明確になっていませんが、逆にいうと直腸の場合は腫瘍径が5cmを超えている場合は核分裂像数が5/50HPFs以下ということがほとんどなく、やはり高リスクの可能性が高いのだと考えています。
 なお「Modified Fletcher 分類(いわゆるJoensuu 分類) 」では、直腸GISTで腫瘍径が5cmを超えると、核分裂像数に関わらず「高リスク」に分類されています。

「部位による」に疑問?

 しかし、GIST研究会のHPには下記の論文も紹介されています。
定説の再考:胃GISTと小腸GISTの生存率は同等である~SEERデータベースに基づく傾向スコア解析~ – GIST研究会
 これによると、OS:全生存率、CSS:癌特異的生存率について、「傾向スコアマッチングにより、背景因子が完全に一致した5つのコホート(胃GIST vs. 十二指腸、小腸、結腸、直腸、消化管外GIST)を作成し、OSおよびCSSを比較した結果、胃GISTとの間に有意差を認めたのは、結腸GISTと消化管外GISTのみであり、十二指腸、小腸および直腸GISTに関しては、有意差は認められなかった。」とあります。講演会などでこの文献が取り上げれているところを観たことがないため、一般的に認められた見解ではないのかもしれませんが、この論文には直腸GIST患者の私は少し勇気づけられました。
 ここは完全に私見ですが、「結腸GISTと消化管外GISTについても本当のところはどうなのかわからないんじゃない?」と思っています。症例が少ないので正直なところよくわからない部分もあるのではないかと考えています。
 この論文については、勉強会などで専門家に聞きたいと考えています。
 余談ですが、この論文には「原発巣切除、女性、2003年以降の診断例は、CSS良好およびOS良好と有意に関連していた」という興味深い記述もありました。やはり女性は強いということでしょうか。2003年以降良好となったのはグリベックなどの治療法が出てきたためなのでしょう。

衝撃を受ける生命予後。しかしこのデータは要注意

 さて、最も気になる予後です。
 yahoo検索で「GIST 予後」と検索すると下記ページが検索トップに表示されます。
消化管間質腫瘍(GIST)200症例の再発様式と、生命予後の予測因子 – GIST研究会
 「1年生存率は69%、3年生存率は44%、5年生存率は35%であった。そのうち、原発巣完全切除群(n=80)の1年生存率は88%、3年生存率は65%、5年生存率は54%であった」というあまりに衝撃的な記載があります。自分のGISTが判明した時点で原発巣完全切除が可能なのかわからないため、全体の生存率を見ると「5年生存率は35%」と衝撃的な数値を目にします。私のGISTは高リスク、状況はさらに悪いのではないかと不安に襲われます。
 しかし、この論文、2000年に発表されたものなんです。つまり、グリベック導入前のもの。先ほど記載したとおり、2003年以降全生存率が上昇したことが反映されていない古いです。
 だから、この生存率を鵜呑みにするのは必要以上に不安になる素になるのかなと考えています。

すごいぞ!グリベック(イマチニブ)

 これまたGIST研究会のウェブサイトを参考にしています。
切除可能GISTに対する1年間および3年間のイマチニブ術後補助療法の比較: 無作為化比較試験SSGXVIII/AIO – GIST研究会
 この研究は高リスク患者を対象に行わているもので、同じく高リスクの私も興味がある内容です。
 生存率などはグラフからしか読み取れないので正確な数値はわかりませんが、GIST切除後、3年間グリベックを服用し続けた患者は、術後5年間の全生存率が80%を超えています(というかほぼ90%)。術後5年間の無再発生存確率も65%程度とまあまあの数値です。
 「グリベックの効果がいつまで続くか」は天のみが知るところであり、効かない人はすぐに効かなくなるということで、不安も残りますが、「5年生存率35%」という状況よりはかなりいいように思います。
 ただ、グリベックを3年でやめると1年後くらいに再発している例が多いようで、そういう意味ではグリベックをできるだけ長く飲み続ける重要性は大きいようです。

ただ、グリベックにも限界がある

 いろいろ調べていると、グリベックは「GISTの増大を食い止める、再発を遅らせる」効果まではあるのですが、再発率を下げる効果はないようです。

だから、再発しなければラッキー、いつ何があっても後悔しないように毎日を過ごすことが大切なんだと思います。