40代直腸疾患(GIST-稀少がん)の超低位前方切除、一時人工肛門、人工肛門閉鎖後の排便障害を中心とするブログ

GISTとよばれる稀少がんを直腸に患った40代イクメンの稀少がん治療や育児や趣味を綴るもの

「直腸GIST疑い~精密検査~治療開始直後」の苦悩の2か月間を振り返る

今回の記事では、「GISTの疑い~精密検査~治療開始直後」までの苦悩の日々を綴ります。

きっかけは人間ドック

 発端は今年1月の中旬の人間ドック。2月上旬に帰ってきた検査結果は、「便潜血2回とも陽性。要精密検査。」
これを受け取った時、内心「とうとうきたか」と思いました。
というのも、かれこれ5年以上前から、時々固く太い便が出るときに出血があり、ずっと痔だと思っていたのです。
実際に痔も持っているし、調子がいいときは長い間全然出血しない。
40歳になるまでは2年に1回人間ドックを受けていたし、今回の人間ドックの前年にも人間ドックを受けており、便潜血が出たことはなかったのですが、「いつか便潜血陽性になるだろうなぁ」と覚悟はしていました。

大腸内視鏡検査

 精密検査については、面倒なので、どうしようか迷いましたが、会社の先輩達に相談したところ、「精密検査受けるべきやで」「俺も内視鏡検査したら良性のポリープがあって、悪性化する前にとっておいてもらってよかったわ」と話を聞いたので、内視鏡検査を受けることにしました。これが一つ目のラッキーでありました。先輩たちの答え次第ではGIST発覚はさらに遅れていたかもしれません。

 病院の診察で、「最短で2/13が検査可能です」と言われましたが、その週は出張の予定があり、翌週の2/20に内視鏡検査を受けることになりました。

 「辛い」と聞いていた内視鏡検査でしたが、私の場合は全く苦痛なく受けることができましたが、大腸に1つポリープがあり切除してもらいました。検査医からは「見るからに良性だねぇ」と言われ安心していました。私は以前からの出血が気になっていたので、「時々排便時に血が出るんですよねえ」と言ったところ、肛門付近を念入りに調べてくれることになりました。
 検査医が「内視鏡を入れていくときには気づかなかったけど、なんか大きな粘膜下腫瘍があるねえ。脂肪腫かなあ」と言い出し、看護師が「こんなに大きいの初めて」といかがわしいビデオに出てくるような言葉を発するのを聞きながら「なんかあるんだぁ」と思いつつもまだ全く不安はありませんでした。
 その日は良性ポリープを切除したため、一泊入院することになり、翌朝起床後にCTを撮ることにことになりました。
翌朝CTを撮って、ベッドで待っていると昨日の検査医がきて「7cmある巨大粘膜下腫瘍だよ。MRIで確認しよう。検査は1か月後の3/16にしよう。それ以上の検査が必要になったらウチじゃ無理だから大学病院を紹介することになります。」と言われ、その日は退院しました。
 退院後自宅で、「粘膜下腫瘍」と調べているうちにだんだん不安になってきました。サイズが大きすぎる…。これは悪性の可能性が高い。人工肛門になってしまうのか?そもそも生きていられるのか?不安が不安を呼びます。

大学病院へ紹介

 結局翌日もう一度病院を訪れ、以下のようなやり取りをしました。
私 :自宅で調べたところ、悪性の可能性が高いようですがどうですか?
医者:悪性の可能性もあるが、検査をしないと何とも言えない。
私 :MRIで悪性かどうかわかるんですか?
医者:MRIで見当がつく可能性もあるが、針を刺して精密検査をしないとわからない可能性もある。
私 :それだったら、最初から大学病院で精密検査を受けた方がいいのではないですか?
医者:簡易的検査から行っていくのがセオリーだから、何とも言えない。
私 :じゃあ、この1か月の間、腫瘍が大きくなって取り返しがつかなくなることはないのですか?
医者:それは結果論だから、あとになってみないと何ともわからない。

 この「結果論」という言葉に私は唖然としました。こんな医師がいるとは・・。最善を尽くした末の結果論だったら納得ができる。でも・・・。
結局、医者に「大学病院をすぐに紹介してください」と言って、翌週大学病院の診察を受けることになりました。今考えるとこの英断は第2のラッキーでした。

「GISTの疑い」に気づいてから

 これが木曜日の話で、ここからは本当に地獄でした。
 四六時中「粘膜下腫瘍」のことが頭を離れないのです。とにかく、インターネットを調べまくった結果、「どうやらGISTらしい。直腸7cmは高リスク。5年無再発生存率は・・・、50%以下。」人口肛門になることを恐れていたけど、そんなレベルじゃないことがわかった。「近いうちに死ぬ確率が50%以上・・・。」ただ怖さだけで、他には何も考えられなくなっていた。もちろん夜になっても眠れるはずもなく、昼夜が分からない生活。「人工肛門、肛門温存」というキーワードについてもインターネットを調べては悶々としていました。
 昨年直腸がんの手術をうけた叔母のお宅に一人で伺い、話を聞いてもらいました。号泣でした。
 週が明けて、会社の直属の上司および最も信頼している先輩、そしてプロジェクトのマネージャー(このマネージャーも少し前にある疾患で長期入院していた方)に「5年生存率が50%程度のやばい病気のようです。精密検査などで、これから休みをちょくちょくとるかもしれない」と報告しました。「会社を辞めなければならないになるのではないか」「これから家族が路頭に迷うことになるんではないか。」心配で心配でたまりませんでした。でも、上司たちは、「うちの会社ではクビにしたりしないから安心しなさい。悪性だったら、まずは治療のことだけ考えなさい。」と言われ、また涙しました。

 インターネットで「死ぬ前に後悔すること」リストを見たりしました。幸い、愉しい人生を送ってきましたので該当項目はほとんどありませんでしたが、とにかく「残された家族が生活していけるのだろうか?」これだけが、本当に心配でたまりませんでした。
 自転車通勤しながら涙が止まらなくなったこともありました。

GIST精密検査

 そんな地獄のような1週間を過ごし、3/1大学病院初診。内科の先生に言われたのは「GISTが本線だと思います。明日、造影CTをしましょう。来週内視鏡で針を刺して精密に検査できるか確認するために内視鏡検査をしましょう。それで針を刺せそうであれば、検査入院して針を刺しましょう」とのこと。「検査入院での検査はいつできますか?」と聞きましたが、「それは、内視鏡検査をしてから決めましょう。」との回答。
 帰宅後「いつ精密検査の結果がわかるんだろう。何度検査しないといけないんだろう。」ともやもやしていると、大学病院の内科の先生から電話を頂きました。「あの後、関係者で話した結果、早急に検査を進めようということになりました。来週の月曜日に事前内視鏡検査をして、火曜日から二泊三日で針を刺す検査をしようと思いますがどうですか?」と言われ、「承知しました。ありがとうございます。」と答えました。
 それからしばらく経って、「水曜日のベッドが空いていませんでした。事前検査なしで針を刺す検査をするので、来週月曜日から二泊三日で検査入院できますか?」との電話があり、「なんだか検査スケジュールが雑になっていませんか?」と聞いたものの、「大丈夫です。」とのお言葉を頂いたので、言われた通り検査を受けることとしました。当初予定よりもすごく早く検査を受けれることになり、これが第3のラッキーでした。(ちなみに、この時「早急な検査を」と言ってくれたのが今の外科主治医であり、本当に感謝しています。)

 まだまだラッキーはありました。それは、この頃「GIST掲示板」というインターネット上のサイトに相談を書き込んだところ、数人の直腸GIST経験者の方から温かく、ありがたいコメントを頂いたことです。珍しい直腸GISTなのに、4人の方から書き込みを頂きました。そして後でわかったことですが、見守っていてくださった直腸GIST経験者の方がもう1人。これには本当に勇気づけられました。

 その後、二泊三日の入院検査は駄々っ子のように過ごしました。看護師に「今回の目標はなににしましょうか?」と聞かれ、「とにかく死にたくない一心なので、今そんなこと考えられません」と答えたり。検査後入院最終日は「早く帰りたいですぅ。」と懇願したり。病院スタッフからしてもさぞかし迷惑な患者だったと思います。
 なお、検査主治医からは「こんなの良性ではないですよ。」とはっきり告げられ、「検査結果をお伝えするので、3/28に来てください。」と言われ退院しました。

 そしてまたラッキーが。依然モヤモヤして、不眠は続いていましたが、仕事がちょうど忙しかったのです。それもそんなに難しくない仕事で忙しいという最高のシチュエーション。出張しまくり。無駄な考え事をする時間を少なくできたことはラッキーでした。
 それでも、「ちょっと規格外の良性平滑筋腫の可能性はないのだろうか」などとモヤモヤしながら、インターネットばかり見てた気がします。病名が確定するまでの期間は本当に辛いものでした。
 しかしながら、この頃になると、精神的には本当に落ち込んでいるものの、最悪な時期は脱していたようで、病気を相談していた方にも「ずいぶん顔つきがよくなったね。」とは言われるようになりました。

 そして、3/15。検査主治医から電話があり、「結果出ましたよ。明日聞きに来ます?」というのです。予定より2週間近く早く結果が分かり、それを教えて下さるということ、本当に素晴らしい!ここでもラッキーがありました。

 そして、3/16。「予想通りGISTでした。」との確定診断。思ってたがん宣告とは違い、落ち込むこともなく「やっぱりか」と納得。その後すぐに今後の主治医となる外科主治医の先生の診察が開始。「GISTとは?」という話から「今すぐ手術するのはリスクが高すぎるので、抗がん剤で腫瘍を小さくできないか試しましょう。グリベックという薬でですね・・・。」と説明を受けましたが、事前に勉強していた内容だったため、話もスムーズに進みました。でも、「いつからグリベック飲んでもいいですよ。今日からでもいいですよ。」と言われたのですが、この時は「セカンドオピニオンを受けるかどうか考えたいので、1週間考えさせてください。」と保留してしまいました。今となってはすぐに治療を始めなかったことに少し後悔もしています。
 実は、非常に有名なGIST専門医にメールを送り、「グリベックを始めたら後に引けなくなるので、セカンドオピニオンはGIST確定後、ネオアジュバント(術前の抗がん剤服用)開始前に受けることをおすすめします。」と御助言頂いていたのです。
 その後、GISTERSというNPO法人のメンバーに加えて頂き、その中で詳しい方々にアドバイスを頂き、3/23にネオアジュバントを開始したのでした。

GIST治療後の下血

 この頃になると、随分気持ちは落ち着いてきましたが、新たな苦悩が。ストレスで便が固くなり、便秘気味になってしまったのです。人生初の便秘。すると、固く太い便が出ようとする。するとGISTで狭くなっている箇所から出血し、猛烈な下血を経験したのです。排便後ちゃんと洗浄しているのに、気づくとパンツどころかズボンにまで血がポタポタとにじみ出ている。この下血も、次の診察時に便を柔らかくする薬を処方してもらって改善したのですが、自分の体がなんとも情けなくなり、苦悩の日々でした。

文章が下手で、苦悩が伝わらないかもしれませんが(むしろラッキーな2か月間のような記事になってしまった)、とにかく食欲もなく、眠れず、ダイエットは中断してたのに4kgくらい痩せてしまう、辛い日々でした。

次回は記事ではこの2か月を乗り越えた後のことを書きたいと思います。

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